星夜に待ち合わせ

1.4.22

ELDEN RING/デヴィン

死した者たちを黄金樹に還してやることが絶対的に正しいのか、生きたいと望むなら誓いを破ってでも生かしてやることが人として正しいことなのか、私にはわからない。黄金律に従い、死に生きる者たちを殺すことを選んだというのにダリアンについて行くことも、ロジェールに寄り添うこともできず、気持ちはずっと宙ぶらりんのままだ。
デヴィンに後悔しているかと問われてかぶりを振る。いったい何を後悔したらいいのかもわからなかった。狭間の地へやってきた日から今日に至るまで霧の中を彷徨っているような気分だ。太陽の光が緑葉を輝かせても、雨が大地を潤し染み渡った血を洗い流しても、気が晴れることはない。
指巫女に見限られてからどれだけの月日が経ったことだろう。私がこの世界に生きる意味とは何なのだろう。

「いつまでそうしているつもりなんだ? もう随分待ったが」
「動けないよ……」

ただ、デヴィンに慰めて欲しかった。慰めてくれると思っていたから水道橋まで来たのに、彼は今、侮蔑の眼差しを私に向けている。私の胸ぐらを掴み、フィアの居所を言えと眦を吊り上げる。
私は膝立ちの態勢でデヴィンの腕に手をかけた。水に濡れ、冷え切っていた手に熱が移る感覚が場違いにも少し嬉しくて自嘲する。

「あなたまで私を置いていくの? あなたはまだ生きているのに」
「生きているとはなんだ? ダリアンは死んだ。この苦しみは誰にも理解できない」
「フィアを殺したからってダリアンは生き返らないでしょ!」

円卓を少し離れている間にダリアンは絶命していた。ダリアンが死んでも、誰も何も言わなかった。フィアを糾弾する声すらない。それが現実なのだと知って深い悲しみに包まれた。当然の報いだと受け入れるほかなかった。
不戦の約定を律儀に守っていた私がばかだったとしか言いようがない。ロジェールが死に触れたとき、見て見ぬ振りをした罰なのだと思った。

「フィアは……死王子の元へ向かった。ゴッドウィンの復活を望んでいる」
「わかった」
「……お願いだから行かないで」
「あの女を生かしてはおけない」
「行かないで。私を置いて行かないで!」
ナマエ。戦う意志のない者に大義は果たせない」

振り払われた手が地面を押す。シーフラ河の冷たい水が再び私の体温を下げてゆく。大義とはなんだ。確かに、『死』を撒き散らしていたのはフィアなのかも知れない。でもデヴィンのしようとしていることはダリアンの復讐だろう。
デヴィンとダリアンの魂はひとつだということは聞いている。デヴィンが復讐を望むならダリアンもまた復讐を望むのだろうか。そしてデヴィンが私を捨てるなら、ダリアンにも捨てられたことになるのだろうか。
デヴィンが下から私の顔を覗き込む。戦えるのかと最後通告のように問いかけてくる瞳は怒りに燃えていて、私は決して頷くことができなかった。

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