無題

7.6.21

FGO/ランスロット

なんとも申し訳なさそうなランスロットを見ていると、こちらまで申し訳ない気持ちになってしまう。お互いなんら悪いことはしていない筈なのに、二人の間にはいつも奇妙な空気が流れていた。おかしな、頭の奥の方をかすかに湿らせていくような、なんとも胸苦しくなる空気をそっと吸い込む。
苦しい。
それは原因が一向に究明できないためであろう。きっかけすらも見当をつけられずにいるのだ。
何がランスロットを畏縮させるのか、どうして私相手に彼が畏まらなければならないのか、少しもわからないまま、私たちは時折こうして二人の時間を作っている。はじめのうちは偶然が重なってできた時間だったが、そのうち視線で示し合わせるようになった。
時には談話室で、時には私の部屋で、キッチン、人気のない廊下の片隅。どこだっていい。どこにいても私たちの関係は変わらない。

「あなたのマスターと私はどこか似てる?」
「いえ! そんなことは決して!」
「うん。似てないよね」

私の質問に慌てて否定の言葉を紡いだ彼は、すぐさまはっとした表情を浮かべ「とんだ失礼を……。お許しください」と言う。
似ていないことなんて最初から知っていた。ランスロットの認識を確認したかっただけで、礼を欠いた言葉だとは思わない。許すとか、許さないとか、いちいち大袈裟だ。
ただ、理由なく丁寧に応対されるのが気持ち悪いだけなのだ。何か理由を。こじつけでもいいから、何か理由がほしかった。

「うまく言えないけど私に対して、普通、ではないでしょう。どうしてなのかと思って」
「理由ですか……」
「そもそもそんなつもりはない?」
「いえ、あなたとは何かあるような、そんな気がします。ですから……そうですね、普通ではいられません」
「私は何も感じないけど」
「そうなのですか」

私のことが好き、というわけではないのだと思う。それならランスロットはそのように自覚しているだろう。
彼の答えは意外だったが納得はいった。
直感というのは大事だ。何かある気がするというならきっとそうなのだと思う。私たちの間には何かがあるのだ。

「私に害が及ぶと間接的にあなたのマスターが不利益を被るとか、そういうことなのかな」

ランスロットが椅子から立ち上がり私の前に跪く。私を見つめる瞳は憂いを帯びていた。

「どうか、解決を迫らないで頂きたい」
「どうして。うだうだ悩むのにも疲れたでしょう」
「まだこうしてあなたとお会いしたいのです。いけませんか」
「いけないなんて、言う権利は私にはないよ」

ランスロットに恋愛感情はない筈だ。その筈なのだ。
もう一度注意深く彼を観察してみてももしかしたらとすら思えない。
私たちが私たちとして生まれる以前に、なにがしかの因縁でもあったのだろうか。ただ、それならば彼だけが引力を感じている現実に疑問が生じる。単に私が鈍いのか。不思議な心地だ。
何もわからないと諦める私に傅くひとりの騎士。恋でも、敬愛でもないなら、彼は何を想っているのだろう。

NAME CHANGE

TEXT

QooQ