哀惜は口を開けて寝転ぶ

27.6.21

FE/シノノメ

私はおかしくなったのかも知れない。どうしてこんなふうになってしまったのかわからないし、解決方法も思いつかないのだ。

「急に泣いてごめんなさい。どうかお気になさらず」
「気に入らなかったのか?」

涙を拭い、シノノメからもらった真っ赤な花に視線を落とす。

「いいえ。とても嬉しいです」
「……無理はしなくていい」

否定しなければならないのに、何を言ってもシノノメに気を使わせてしまう気がして言葉を紡ぐことができなかった。おそらく彼は誤解している。だがそれはなるべくなら避けたい話題であり、私から話を振ることは難しい。私はただ謝るしかなかった。
手折られたばかりの花は未だ瑞々しく太陽に向かって花首を傾げている。
シノノメにどうしたのかと問われて軽く首を振った。私はこの感情を上手く伝える術を知らない。何を、どう話したら良いのか――。
きっと、言葉にしたら何もかもが壊れてしまう。シノノメも私から離れていってしまう。左目からまた、涙がぽろりと零れ落ちた。
シノノメは複雑そうな表情でこちらを見ていて、そのとき心臓を素手で撫でられたような、気持ち悪さを感じた。この表情の意味を知りたくないと思った。

「次は絶対にナマエが喜んでくれるものを贈る。あんたが泣くのを見るのはつらい」
「シノノメさま……」

続きを口にしようとして遮られた。
何も言わなくていいと彼は言った。謝られたくない、とも。
シノノメは長らく秘境で暮らしていたため、仕えるようになってからそれほど長くないというのにもうずいぶんいっしょにいる気がする。私はそれがとても嫌だった。

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