形成

7.6.21

GRBL/カシウス

それは唐突な質問だった。カシウスの好奇心は個人にも向けられるものなのかと一瞬、林檎の皮を剥く手が止まる。

ナマエは戦うのが好きというわけでもないのに、なぜ戦闘に出るんだ?」

どうしてそう思ったのかはわからなかったが、見ていて何か思うところがあったのだろう。無遠慮な言葉だなと思いながらも自分を納得させて質問に答える。

「別に戦うの、嫌いじゃないよ」
「好きではないだろう。フォッシルの民は自由意志で職業に就けると聞いたが」
「私には、組織に拾われた恩があるから。戦わないと……」

私は過去に思いを馳せる。戦う他に何もできることがなかったのだ。何をやらせてもだめで、取り柄と言えるものがなかった。それしか生き抜く術がなかったのだ。好きとか嫌いとか、考える余地などそこにはない。生きたいか、そうではないのか、提示されたのはその二択だった。

「恩、か。理解できないな」
「そうだね、理解できなくて当然だよ。私には他に行くところがない。だから仕事だって割り切ってるだけだもん」

怪訝そうな表情を浮かべるカシウスの前に切り終わった林檎を置く。カシウスが「初めて食べる」と言って林檎をフォークで刺し、明日は何を持ってこようかと考える。
できることなら、私はカシウスにこの世界の楽しいことや美味しいもの、美しいもののことだけを教えてあげたい。

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